公開日記

その名の通りです

19/06/24 : 二話

私はかねてから仮面の力というものについてをよく考えている。つまり、人は何かを演じるとき、その演技が長くなるにつれて、自分の演じているものそれ自体に、その人の性格が変化していくのである。 ライナー・マリア・リルケの『マルテの手記』は、私が若い…

19/06/23 : 一話

「私とは何か」 鏡に映る自らの姿を眺めながら、pはふとそう呟いた。 我々が街中を歩いている時、通りがかりのガラスの上に、ふと自らの反映が浮かび上がることがある。 そのような時、いつもではないが、彼は何か突然の驚きに襲われることがあった。そこに…

19/06/22 : Gazpacho - Chequered Light Buildings(和訳)

Chequered light buildingsシマウマ模様に光る建物がFallen from the sky空から落ちてきてSway as they climb into your eye君の目の中に写って揺れるThey're taller now建物はあんなにも高くなっている…Everything has changed今や何もかもが変わってしまっ…

19/06/20 : 罪、幸福、音楽、笑い、など

罪人の生涯。やがて来る終わりを恐れて、怯えるように生きる毎日。不安に戸惑い、頭を抱えながら、何かから逃げるように生きることの惨めさ。 それが嫌ならば、僕達は偉大なる罪人にならなければならない。 そして偉大なる罪人になるということは、それを乗…

19/06/19 : Gazpacho - Upside Down(和訳)

You may believe that your house is bleak and you're leavingきっとあなたは今、自分が家にいないだけなのだと考えているのでしょうBut there's a gulf between what it is that you see and what you should be seeingでもあなたが今見ている世界と、あな…

19/06/19 : 個人的な不安、知性、愛、など

このまま自分が何もなせないまま死んでいくかもしれない。そんな不安に駆られることがある。 不安になると、自分にはあまりにも力が足りない、知識が足りない、という結論にたどり着く。実際、僕には知らないことが沢山ある。自分はなんと未熟な人間なのだろ…

19/06/18 : 後書きのようなもの(小説「肖像画」について)

これから僕は、また長々と文章を書いてしまいます。しかし、本当はこんなものを書くつもりは更々ないのです。 僕はまだ未熟な人間です。だからあとがきを書くなんて、なんだかおこがましい気がします。でも語らざるを得ない、そういった感情に強く突き動かさ…

19/06/17 : 小説 「肖像画」 その七

十七の頃より、私は精神を病み始めた。それまでに抱えてきた悩みや苦しみの全てが、ついに限界に達したのである。私は今日まで築き上げてきた全てが崩れさるような思いがした。これが私の人生で味わった、最初の大きな挫折である。 それから短い間ではあるが…

19/06/16 : 小説 「肖像画」 その六

私は以前、それこそ私がAと同い年くらいの頃に、一人の女性を自殺に追い込んだことがある。 Aより二歳年上くらいだった頃、私の文学への情熱は衰え、その志を半ば諦めて、私は都内でも有名な出版社に就職した。 しかし私が三十になる頃、そこで勤め始めてか…

19/06/15 : 小説 「肖像画」 その五 後半

Aは言葉を続けた。「僕がCと知り合った頃、僕は近所にあったカトリックの教会に通っていた。そう頻繁にではないけれど、不定期ながらに、暇を見つけてはそこで行われるミサに出席していんだ。 西洋美術への学びを深めるためには、やはりキリスト教をよく理解…

19/06/15 : 小説「肖像画」その五 前半

「僕はずっとここから抜け出せない、ずっとこの孤独の世界から抜け出せない。この誰もいない場所から、僕は一歩も動くことがで出来ない。 好きな人が目の前にいても、向こうが自分こ遥か遠くにいるような心地がする。手を伸ばせば届くはずの誰かが、決して触…

19/06/14 : 小説 「肖像画」 その四

私が今考えているのはレオナルド・ダ・ヴィンチの事だ。 有名な話で、レオナルドが女性のみを描いた絵画は三つしか残されていない。一つはご存知『モナ・リザ』、もう一つはジネーヴラ・デ・ベンチという女性の肖像画、そして最後の一つは『ラ・ベル・フェロ…

19/06/13 : 知と詩

知は力だ。僕はもっと知識が欲しい、もっと力が欲しい。 僕に足りないのは力だ。僕はもっと学ばなければならない。力を蓄えるために、知識を蓄える必要がある。 経験はあるが不得意なことを、人は得意げに語りたがる。 文章を書くのが上手い人間は、それだけ…

19/06/12 : 小説 「肖像画」 その三

ある日、私はAに言った。「君、酒は飲むほうかね」 「お酒ですか?」Aは答えた。「そうですね、付き合い程度には飲みますが、普段一人ではあまり飲みません」「そうかい」と、私は続けて言った。「それなら今度一緒に飲まないか?今晩でもいい。親睦を深める…

19/06/11 : 舟歌(バルカロール)

たいていの場合、人は自分の本心が見抜かれた時、それとは正反対のことを努めて言おうとするものだ。 人が最も嘘をつくのは、自分のプライドが傷つけられた(または傷つけられそうな)時である。人間の嘘、それは傷つけられたプライドの復讐をするために生産さ…

19/06/10 : 罪の意識、ロック、ニーチェとナチス

他者に対して途方もない申し訳なさを感じることがある。 罪の意識。それは自分に非があり、そして相手が自分の被害者であるという認識に基づいて成り立つものだ。 しかし、あらゆる罪は償うことが出来ない。過去をやり直すということは不可能だからだ。僕達…

19/06/10 : 小説 「肖像画」 その二

私は普段、都心から外れた安い東京のマンションの一室に住んでいる。家賃は月に三万程度だ。 特に理由はないが、一、二年に一度の頻度で引越しをしている。そして、暮らす場所は生活に不自由しなければそれでいい。 家賃が安い分、マンションではあるが防音…

19/06/09 : 行為の哲学と内省の哲学

人間はどう足掻いても完全な正しさに生きることが出来ない。人間らしさとは間違いを犯すということにあるからだ。 アリストテレスの思想には「観想」という概念が存在する。つまり、物事をよりよく、より豊かに、そしてより明確に認識するために、人には「暇…

19/06/08 : キリスト教、社会、愛、女性

キリスト教の教会は常に反キリストからの影響によって成長して行った。 キリスト教初期の代表的な教父であるアウグスティヌスは、一元論(または汎神論)的なプロティヌスの思想から大いに影響を受けている。また彼の巧みな文章表現からは、古代ローマの詩人た…

19/06/08 : 小説 「肖像画」 その一

いつからだろうか。もう長い間、私は小説を書くことが出来ないでいる。他人のそれがまともに読めなくなってからも随分久しい。 しかし、それでも私は小説家になることが諦めきれなかった。夢をずるずる引きずりながら、気がつけば、私はもう三十七歳になって…

19/06/07 : 窃盗としての読書、倫理、不幸、など

僕には本を読む上で一つの注意している事柄がある。それは、その本に「盗めるもの」があるかどうか、ということだ。 読んでいて共感できるもの、自分の内側で共鳴するものがあるものだけでなく、思わず自分の言葉にしたくなるような文句、台詞、文章表現がそ…

19/06/06 : 歴史との戦い、自己愛、音楽、など

自分の些細な言動が誰かの人生に非常に大きな影響を与え、そのために今のその人が苦しんでいるのかもしれない、そしてその人は今も僕を忘れていないのかもしれない。 そう考え始めると、途端に人生というものが耐え難いもののように思われてくる。今すぐにで…

19/06/05 : David Bowie - Life on Mars?(和訳)

It's a god-awful small affairそれは本当に些細な出来事だったTo the girl with the mousy hair灰色の髪をした少女にとってはBut her mummy is yelling, "No!"彼女の母はそれを禁止しAnd her daddy has told her to go彼女の父はそれをゆるした But her fri…

19/06/04 : フーガ

まず目の前に一つの現象がある。次にそれを解釈する、解釈者としての僕達人間が存在する。現象の内側には必ず一つの真理が存在するが、しかし僕達は決してその真実を理解することが出来ない。 "Scars / They lie / Where we can keep them safe(傷跡 / それ…

19/06/03 : 夜想曲(ノクターン)

キェルケゴールはついに救いを得られないままその死を迎えた。 キェルケゴールの著作にはどれも宗教的な面影があるが、その一方で、彼は常に自分のうちにある「罪」に苛まれ続けた。彼は人間の救いを説きながら、決して救われることのなかった偉大なる罪人だ…

19/06/02 : ソナタ

結局、僕は偽物だ。本物にはなれない。 それは決して「本物の天才になれない」または「本物の人間になれない」などの意味ではない。そうでなくて、僕は本物の善人になれないのだ。 どう足掻いても、僕はおとぎ話の主人公のような、純粋で真面目な正義の人に…

19/06/01 : バラード

人は皆、動いているのではない。むしろ人は動かされているのだ。 平等を求める動きとは一種の嫉妬と復讐心の表れである。自分も苦しんだ分、他人に同じ苦しみを味わってもらいたい。平等を求める人達の根底にあるのはそのような気持ちだ。 そして、これはど…

19/05/31 : コラール

近代の西洋文化の発展は、多かれ少なかれ反宗教的、または反キリスト的な性格をしている。 既存のものに限界を感じるからこそ、人は新しいものを生み出そうとする。そして近代の西洋において、聖書は常に「既存のもの」であり続けた。こうして西洋の文化は既…

19/05/30 : フォルラーヌ

"the ability to laugh at weakness(他人の弱さを笑うための強さ)" 哲学史の中には常に突然変異種とでも言うべき人たちがいる。彼らの思想は、常に全ての時代を貫いて独創的であるか、または特異的である。とにかく、彼らの思想はあまりにも斬新なのである。…

19/05/29 : ラルゴ

時折、自分は決して主人公になれない、そのような感覚に襲われることがある。 シェーンベルクの音楽が美への暴力だったのに対して、ベルクの音楽は暴力による美の表現だった。そしてウェーベルンは暴力それ自体を美に昇華してしまった。 シェーンベルクによ…