22/01/21

"我々は身体を信じなければならないが、生の胚芽を信じるように、聖骸布やミイラの包帯の中に保存され、死滅せずに、舗石を突き破って出てくる種子を信じるように、それを信じなければならない。" ある日暮れ頃、電車に揺られながら、私は突如永劫回帰の意…

22/01/16

着飾るということには不思議な作用がある。ステージ上のメイクをしたバンドマンは、普段とはまるで違う、「別人」がそこにいるのを覚える。人が衣装を着るのではい、衣装が人を着るのだ。その人の精神状態が容姿に出るのではなく、むしろある容姿のために、…

22/01/11

行為の危機、それは説明不可能な世界の現前から生じる。元来、人は行動に対して二つのイメージを抱くものだと思われる。一つはシチュエーション(状況) → アクション(行動の発生) → シチュエーション(別の状況の出現)で、もう一つはアクション(行動) → シチュ…

22/01/06

不思議だ。寝たい時に眠れず、寝てならぬ時に眠りが訪れる。いつからか、そんな毎日が繰り返されるようになった。自律神経が狂っているというやつなのだろう。 不眠に悩まされることは、これまでにも何度かあった。しかし、かつての私にとって、不眠は一つの…

22/01/01

初日の出を見た。思えば生まれて初めてかもしれない。日の出自体、偶然見かけることはあれど、ほとんど拝むこともなく生きてきた。綺麗だった。徐々に、ゆっくりと、黄金の輝きがあたりを焼き尽くしていく。しかし、気がつけばそれも終わっていた。地平線と…

《表現と結晶》エピローグ

警察はXの死を事故によるものだと断定した。Xの両親とも、彼女の死によって初めて会うこととなった。しかし、その辺りのことは、もうあまり思い出せない。 彼女の葬式にも参列した。会場からはひそひそと話し声が聞こえた。参列中、私はできる限り彼女との…

《表現と結晶》二・4

朝が近づいている。もう四時だ。雨は先よりかは小降りになったかも知れない。ふとペンを置き、両手で顔を覆う。不思議だ。この場面を書くために筆を取ったのに、いざその箇所に至ると、書く気が起きない。自分でも、それが何故なのかわからないのである。 ス…

《表現と結晶》二・3

初めての晩から一ヶ月と経たないうちに、彼女は私の部屋に住み始めた。もとい、住まざるを得なくなった、と書いた方が正確だろう。理由は単純である。元の家に暮らすことが出来なかったからだ。 朝の幸福は長続きしなかった。私と同様、彼女もスマートフォン…

《表現と結晶》二・2

あの電話以来、Xはもっと沢山のこと話してくれるようになった。私はずっと何故彼女が法学部に行ったのか知りたいと思っていた。しかし、その理由も聞くことができた。彼女は両親が二人とも弁護士であったのだ。そして家の方針として、法学部以外を選択する…

《表現と結晶》二・1

雨が降る。コンクリートの大地を鞭打つ音がする。無数の水滴が地上に弾ける。その音が聴こえる。そして気がつく、知らぬ間に音楽が止んでいることに。どうやらスピーカーの充電が切れたようだ。今や一切は雨に染まる。私の部屋は土砂降り模様に変わっていた…

《表現と結晶》一・2

夜。一切が闇に沈もうとする今、満月だけが私を引き止めてくれる。月光には不思議な作用があると思われる。夜は白銀のヴェールに包まれて、その裏にある天体の輝きを想起させてくれる。生憎、私の住む部屋からは星が見えない。街灯が星の在り処を隠してしま…

《表現と結晶》一・1

今でも思い出す記憶がある。それは私が幼稚園児の頃の話だ。 床にしゃがんで画用紙を敷き、私はひとり絵を書いていた。ふと、ある女の先生が「何を描いているの」と聞き、近づいてきた。私はそれに答えようとした。しかし、聞かれて初めて気づいたのだが、自…

21/12/21

十月末から書いていた小説をやっと書き終えた。合計約六万字であるが、正直、こんなに苦労するとは思わなかった。明日から一日一章ずつ投稿して、年内には全編読めるようにするつもりである。 書いたものについて、公開する前から強いて言いたいことがあると…

21/12/09

最近、小説を書いている。二部構成を予定していて、そこにエピローグも加えようと思っている(場合によっては、このエピローグが短いながらに第三部となるかもしれない)。先日、第一部を書き終わり、今は第二部の途中を書いている。タイトルは『表現と結晶』…

21/11/21

全てが遅い。あまりにも遅すぎる。それはヴィスコンティの『山猫』を貫くテーマである。時代が変わり、新勢力が台頭する。革命戦争が勃発し、旧勢力は没落する運命にある……。バート・ランカスターが演じる主人公は古い世代に属し、彼は貴族の大公である。に…

21/11/15

疲労とは何か。それは選択することの苦しみである。可能性の実現。それは選択の排除によって行われる。そして時には、一つの選択をした後になってやっと別の選択肢があったことに気がつくことがある。「あれがあったならば、これもあったのではないか」「何…

21/10/23

現代の恐ろしい所、それはあらゆるものが公的になりつつあるということだ。個人の私生活さえ、今や他人の眼を気にして演技するべき舞台となっている。最早私達を見張るのはお天道様ではなく、他ならぬ私達自身である。そこにいない他者の眼差しを気にして自…

『差異と反復 - はじめに』に対する個人的な注釈

『差異と反復』のアメリカ版への序文の中で、ドゥルーズは次にように書いている。「……私を襲い熱狂させたヒューム、スピノザ、ニーチェ、プルーストを研究したあと、私は「哲学すること」を試みたのだが、その最初の著作こそ『差異と反復』であった」と[※1]。…

Neil Young - After The Gold Rush (和訳)

Well I dreamed僕が夢を見ているとI saw the knights in armor comin'甲冑の騎士がやってきてSayin' something about a queen女王様について何かを言った There were peasants singin'そこでは農夫らが歌っていてand drummers drummin'奏者たちが太鼓を叩きA…

David Bowie - Rock 'N Roll Suicide(和訳)

Time takes a cigarette,煙草を吸う時間だputs it in your mouth君はそれを燻らせようとするけれどYou pull on your finger,おぼつかない意識は自分の指先を口元に運びthen another finger,また間違えて他の指をしゃぶってしまいthen cigaretteそれからやっ…

Radiohead - Sail to the Moon(和訳)

I sail to the moon月に出航するI spoke too soonあまりにも早く話してしまったからAnd how much did it costそのツケを払わなくちゃならないI was dropped from僕は落ちたThe moonbeam一筋の月の光からAnd sailed on shooting starsそうして流星の飛び交う…

Radiohead - All I Need(和訳)

I'm the next act 次の出番を演じるため Waiting in the wings 舞台の袖で待っているI'm an animal 僕は獣 trapped in your hot car 君の熱い車内に閉じ込められてしまったI am all of the days 僕はすべての日々 that you choose to ignore 君が無視すると…

Nick Drake - From the Morning(和訳)

A day once dawned 夜明けの訪れ And it was beautiful それはとても美しく A day once dawned from the ground 夜明けの訪れが、地から上がってくる Then the night she fell and the air was beautiful 夜に彼女は落ち、空気はとても澄んでいた The night …

Nick Drake - Harvest Breed(和訳)

Falling fast and falling free 軽やかに、気ままに落ちていく You look to find a friend 友達を見つけたような顔をして Falling fast and falling free 軽やかに、気ままに落ちていく This could just be the end これが最後の雲みたい Falling fast, you …

Nick Drake - Free Ride(和訳)

I know you 君を知ってるよ I care too 気にかけてもいる I see through ちゃんとわかってるから All of the pictures that you keep on the wall 君が壁にかけてる写真の数々や All of the people that will come to the ball 急ぎ足で行き来する人達の事も…

Nick Drake - Know(和訳)

Know that I love you 知っているだろう、君を愛しているって Know I don't care 知っているだろう、僕は何も気にしてないんだ Know that I see you 知っているだろう、君を見ているって Know I'm not there 知っているだろう、僕はもう、そこにいない ※ 曲…

Nick Drake - Things Behind the Sun(和訳)

Please beware of them that stare じろじろ見てくる奴らには気をつけろ They’ll only smile to see you while your time away 連中はお前が浮かない顔をしている時にだけ笑いかけてくるAnd once you’ve seen what they have been もしお前が連中がどんな奴…

Nick Drake - Road(和訳)

You can say the sun is shining if you really want to 君が望むなら太陽が輝いていると言うこともできるだろう I can see the moon and it seems so clear 僕には月が見える、そして月はとても綺麗だYou can take the road that takes you to the stars no…

Nick Drake - Pink Moon(和訳)

Saw it written and I saw it say それが記され、語られるのを見た Pink moon is on its way 薄紅の月が軌道に乗ったと And none of you stand so tall 誰も驕り高ぶる事が出来ず Pink moon gonna get ye all 桃色の月が人々を飲み込むとIt's a pink moon 桃…

Nick Drake - Parasite(和訳)

Lifting the mask from a local clown, feeling down like him 地元の道化師からマスクを奪い取って、彼のように項垂れている Seeing the light in a station bar and traveling far in sin 駅前の酒場の灯りを見ながら、罪の意識に苛まれている Sailing dow…